第9章 国際政治の動向と課題

39_国家安全保障と国際連合

要点解説 資料集

国家安全保障と国際連合

以前の国家安全保障はどのように成り立っていたのだろうか?

勢力均衡政策の破たん

 諸国家は、しばしば利害を共有する国家と同盟を形成することによって、安全保障を図る

  

   別の同盟に対抗して、軍備拡張や同盟を結成することで勢力の均衡をとる

   競争や国際的緊張を招いたり、いったん戦争が始まると戦争が拡大したりする

    e.g.第一次世界大戦


国際連盟による集団安全保障とは、どのようなものなのだろうか?

国際連盟による集団安全保障にはどのような問題があったのだろうか?

国際連盟と集団安全保障

 第一次世界大戦後、新たな国際秩序が構成される

 1918年:~アメリカの大統領が提唱

  の創設と体制の試み

   1919年:で調印されたの中に規約が定められる

   本部:

   

  

   それぞれの加盟国が武力の不行使と、平和を乱す国家に対する制裁とを約束

   約束に反して武力を行使した国家は、の対象となる

 国際連盟の問題点

  

  

  により上院の加盟承認が得られず

  

  



国連の集団安全保障体制

 第二次世界大戦後、新たな国際平和機構としてが設置される

  歴史

   1941年:アメリカのとイギリスのによる

    戦後の新たな国際平和機構を設立する構想が打ち出される

   1944年:アメリカ、イギリス、ソ連、中華民国による

    の原案が作成される

   1945年:方式が打ち出される

   1945年:が打ち出される

  

   と安全の維持、平等とに基づく諸国間の友好関係の促進

   経済的、社会的、文化的または人道的な国際問題解決

   についての

    →これらに基づく

   

    日本など連合国に敵対した国々に関する条項

     日本は現状に合致しないという理由で同規定の削除を求める

      →1995年に削除の決議が総会で採択される

       (死文化しているものの、条項自体は残っている)

   

    紛争の当事国に紛争のを要請

   

    経済・外交制裁などの、正規国連軍(UNF)などによる

     →「」として規定される

    ※:加盟国が自国兵力を安保理に供給するというによって結成される

     これまでに正規国連軍は一度も結成されていない

      一方で1991年の、2003年のではが組織された

     各国ではを任意に準備しておく場合も



  加盟国の増加

   1956年:を受けてソ連がを決める

    →が国連に加盟

   1973年:西ドイツのによる

    →が国連に同時加盟

   1991年:終焉

    →の同時加盟(南北朝鮮:

     の同時加盟

     バルト三国:

   2002年:永世中立国の加盟

       から分離独立したの加盟

   2006年:と連邦制を解消したの加盟

   2011年:から分離独立したの加盟

   ※現在加盟していない国々は一部にとどまる

    など

  国連加盟国数の推移



   加盟国数は創設時の4倍近くに増大し、アジア・アフリカ諸国が加盟国の約半数を占める



 :国連の集団安全保障の要

  国際の平和と安全の維持に主要な責任を負う

  米・英・仏・ロ・中のと任期年のから構成される

   の採択には全常任理事国を含む9理事国の同意を必要とする

    常任理事国には反対票を投じることで安保理の決議成立を阻止するが認められる

     

     冷戦期には拒否権が数多く行使されたり、その行使が予想されたりした

      わずかな例外を除き、強制措置がとられることはなかった

     ※1950年:

      安保理が行使のために役割を果たせない場合、総会が強制措置をとることを勧告

      会期中でない場合は、を開催することができる



 自衛権の行使

  自衛権:と同盟を結ぶ諸国による

   原則的に禁止された武力行使を例外的に認めるケース

   1996年:極限状態でののための使用についてICJが最終的な結論を出さず

  ※「

   同盟を形成することによって、見捨てられるリスクは軽減されるが、巻き込まれるリスクは増大



 冷戦期に国連のが生まれる

  「」とも呼ばれた

   紛争当事国の要請と同意を前提に、停戦の監視、兵力の引き離しや非武装地帯の維持にあたる

   この任務にはがあたる

    冷戦の終結後、PKOの任務は複合化する

     e.g.元兵士の武装解除、動員解除、社会復帰や選挙、人権、文民の保護など

       =

   、武器使用の要件としてがある

 武力行使の歴史

  1950年代半ば:

   初のであるが組織され、現地に展開

  1990年:による侵攻

   

    →1991年に任意に組織されたを攻撃し、撤退を促すが起こった

  1992年:国連事務総長のによるPKO強化

   を予定したを派遣できるとした

  1992年:制定

   長く戦乱が続いたに初めてを派遣

    →成立

   

    ①紛争当事国間にがあること

    ②紛争当事国双方がPKOの受け入れにしていること

    ③いずれにも偏らないを遵守すること

    ④①~③が欠けた際は独自の判断ですること

    ⑤に限ること

    ※2015年の法改正によって支配下にある者たちの生命を守るためにも武器使用が認められる

   1996年から約17年間にわたり、ゴラン高原に展開されたなど

    ※2013年にの要件を欠いたため、独自判断による撤収が行われた

  1993~1995年:

  1992~1995年:

   →紛争は泥沼化し、事実上失敗



国連の活動と国際協力

 国連の組織

  

   全加盟国が一国一票の投票権をもつ(一国一票の原則)

   多数決で意思決定を図る

   :投票を行う加盟国の以上の賛成を要する

   :投票を行う加盟国の以上の賛成を要する

  

   国際紛争の平和的解決や制裁などを行う

   に一次責任を負う

   常任理事国と、任期年のからなる

    

   1971年:中国の代表権がからに移る

   1991年:の代表権がに継承された

   

   2026-2027年にかけて任期期限が設定される

   バーレーン、コロンビア、コンゴ民主共和国、デンマーク、ギリシャ

   ラトビア、リベリア、パキスタン、パナマ、ソマリア

    常任理事国には反対票を投じることで安保理の決議成立を阻止するが認められる

    (には拒否権が認められない)

     

      冷戦期には拒否権が数多く行使されたり、その行使が予想されたりした



  

   経済・社会・文化・教育・衛生などのを目的とする

   で選出される理事国で構成されるが、

   理事国はの割り当てに関係なく、各々1票の投票権を行使できる

   任期3年の54理事国で構成され、を行う

   連携する専門機関も非常に多い

   

   

      世界のの解決のために設立された

   栄養不足人口の半減などをめざしている

   

      を図ることで国際平和と福祉の促進をめざす

   

      2020年:拡大

    →世界的大流行()を宣言

   

   

    など

  

   信託統治領の行政監督を担当していたが、現在は活動していない

  

   国際紛争を平和的に解決するための司法機関

   

   裁判の開始にはが必要である

   国際法上の解釈についてを出すことができる

   1996年:一般的なの使用は違反

   ⇔極限状態でののための使用について最終的な結論は出せないとした

   各国は解釈にあたって、の判決を参照している

   裁判官は任期年であり、名からなる

   一国から複数名の裁判官を出すことはできない



  

   国連運営上の全ての任務を担う

   歴代の国連事務総長

1946~52年リーノルウェー
1953~61年ハマーショルドスウェーデン
1962~71年ウ=タントビルマ(ミャンマー)
1972~81年ワルトハイムオーストリア
1982~91年デクエヤルペルー
1992~96年ガリエジプト
1997~2006年コフィ=アナンガーナ
2007~16年潘基文韓国
2017年~グテーレスポルトガル



  特定の国際問題に対応するために、別組織が置かれることも

   

    の要望を受けて設立される

    主にを支援している

   

    紛争や自然災害の発生した地域の子どもたちにを行っている

   

    を優先課題とし、発展途上国の経済的、社会的発展を援助

    

     『人間開発報告書』で発表、アプローチを発展させた

   

   

    のために他国に逃れ、にさらされている保護を行う

    の協力も得ながら難民の救援を行っている

  定期的に開催されるイベント

   

   



 国連改革

  安保理の活動範囲も、冷戦終結後の新しい脅威の出現によって拡大

   ⇔拒否権を認められた常任理事国は5か国に留まる

    安保理の拡大や常任理事国による拒否権行使の制限などが必要と指摘されている

     2005年:(あわせてG4と呼ぶ)による安保理改革の主張

      当時の首相は日本の入りへの意思を示した

  ……国連の予算は加盟国がその経済規模などに応じて負担する分担金でまかなわれている



  1990年代半ば:

   地球規模の諸課題に関する国際社会の取り組みを方向付ける概念

   紛争、人権侵害、貧困、感染症、テロ、環境破壊に対応

    e.g.:2022年末時点でなどと合わせて1億人を超える

 「

  1990年代の国際会議で採択された国際開発目標

  2000年の「

   →持続可能で多様性を重視し、誰も排除しない社会を実現

 ウクライナ紛争

  2022年:国連総会はロシアのを非難し、ロシア軍撤退を求める決議を採択

   ⇔安保理ではロシアが拒否権を行使しているため、実効的な対応がとれない

    安保理の問題点

    ①加盟国の主権の不平等

     拒否権を一部の国にのみ付与しているのは、加盟国の平等に反する

    ②安保理構成国の地位的偏在

     欧米に偏っており、過半数を占めるアジア・アフリカ諸国の意見が反映されにくい

    ③世界情勢との乖離

     国連創立から約80年が経過

      日本やドイツなどの敗戦国から経済大国となった国

      インドやブラジルなど急成長している大国の意見が反映されづらい