第9章 国際政治の動向と課題

41_軍備競争と軍備縮小

要点解説 資料集

軍備競争と軍備縮小

核軍拡競争はどのように広がっていったのだろうか?

核抑止とはどのような考え方なのだろうか?

核軍拡競争と核抑止

 1945年7月16日:アメリカによる核実験の成功(

  8月6日には広島に、8月9日には長崎に原爆を投下する

   cf.原子爆弾による被害~詩人による原爆の惨禍と平和への強い希望を訴える

     生き残った被爆者は放射線による障がいや病気に苦しみ、差別にも苦しめられる

      をめぐる訴訟

  ソ連(1949年)、イギリス(1952年)、フランス(1960年)、中国(1964年)が核兵器を保有

 米ソの冷戦対立~両国間に熾烈な核軍拡競争をもたらす

  大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機など

 :対立する核兵器国が相互に抑止政策をとる状態

  ~「

  拡大抑止政策:同盟国にを広げる

   第二次世界大戦後、日本もアメリカの核の傘のもとにある

 


軍備管理と核軍縮への歩み

核軍備抑制はどのように進められたのだろうか?

 1962年:

  平和共存が関係国の共通の利益であるという認識が広がる

   →核軍備抑制の機運が強まった

 軍備管理:軍備の量的削減以外の制限措置

  1963年:

  1968年:

   米ソ英仏中5か国以外の核保有を防止

   を受ける義務を負う

  1969年:が米ソ間で行われる

   →1972年:

  1979年:  アメリカはソ連の侵攻を機に批准を拒否

  1987年:~初の核兵器削減条約

  1991年:

  1993年:~未発効

  2002年:

   戦略核兵器の核弾頭数の削減に合意

  2010年:新条約()の調印

 ※問題点:抜け穴の存在、条約未締結国による核実験、条約の未発効など

  近年では南極や南太平洋、ラテンアメリカ、東南アジア、アフリカなどでが採択

   

   (南太平洋)

   (東南アジア)

   (アフリカ)

   (中央アジア)など



NPT体制の課題

 体制:非核兵器国への核拡散を防止

  非核兵器国に対して核兵器を使用しないという約束を結び、非核兵器国を拘束

   核物質の軍事転用を防止するため、非核兵器国にはの査察を受けることを義務づける

  1995年のNPT再検討・延長会議によって同条約の無期限延長を決定

   →1996年:の採択

     爆発を伴う核実験を全面的に禁止

  ※:兵器用核分裂性物質(高濃縮ウランとプルトニウム)の生産を禁止

   2021年現在、交渉は開始されていない

 NPT体制に加わらない国々の存在

  

  「五大国の核兵器を温存したまま他国の核保有を禁じようとするNPTの論理は説得力がない」

  イランによる核兵器開発疑惑 

   →2006年以降、国連安保理決議に基づく経済制裁を受ける

    2015年:イランと米英仏独中ロの核合意締結

         ウラン濃縮活動などの自制の見返りに経済制裁が解除される

    2018年:アメリカによる制裁の再開

     →イランも濃縮活動を再開

 条約の失効

  INF全廃条約が2019年に失効

   2022年:ロシアによるウクライナ侵攻~核兵器使用を示唆

 北朝鮮の核兵器計画

  北朝鮮への体制の安全の保証などを見返りに、核施設凍結や核計画放棄の約束を行う

   1994年:米朝二国間の米朝枠組合意~核施設凍結

   2005年:北東アジア地域の多国間の六者会合共同声明~核計画放棄

  国連安保理決議:「完全で、検証可能で、不可逆な形での放棄」

   →北朝鮮への経済制裁の根拠となる

  ※日本は北朝鮮に対して独自の制裁措置を講じている



軍備なき平和をめざして

 大量破壊兵器の規制

  1975年:

  1997年:

 非戦闘員の一般市民が犠牲者になりやすい兵器についても規制が行われる

  1999年: cf.「対人地雷禁止キャンペーン」

  2010年:

 市民による軍縮運動

  1950年:~「原子兵器の絶対禁止を要求」

  1954年:

   ビキニ環礁におけるアメリカの水爆実験で漁船が被爆

   ※ビキニ環礁は後にに登録される

  1955年:で第1回が開かれる

  1955年:

   核戦争によって達成できる国家目的などないことを説く

    日本では湯川秀樹が呼応 e.g.マックス=ボルン、ジュリオ=キュリー

  1955年:設立

  1957年:~科学者たちによる軍縮運動

  1980年代前半:ヨーロッパで米ソのINF撤廃を求めて反核運動がおこり、世界各国に広がる

 2010年:アメリカの大統領による一連の軍縮運動

  「」の実現を唱える演説~を受賞

  にて、現職のアメリカ大統領として初めてを訪問する

 2010年:大統領と大統領が米ロ首脳会談を行う

  に代わるに調印

   →2023年2月:大統領が新STARTの履行停止を表明

 2017年: 

  cf.「

  核兵器の使用、開発、実験、製造を全面禁止

  日本政府はこの禁止条約には署名していない~「核の傘」の下にある国は難しい立場におかれる

 核弾頭の推定数

国名全保有数
5,890
5,244
410
290
イギリス225
パキスタン170
164
90
北朝鮮40
合計12,523

  


 「世界終末時計」:アメリカの科学誌「原子力科学者会報(BAS)」が発表

年号出来事終末時計
1947終末時計登場7分前
1949が初の核実験に成功し、核軍拡競争が始まる3分前
1953初の実験に米国が1952年、ソ連が翌年に成功2分前
1960の開催7分前
1963米ソがに調印12分前
19681964年までにイギリス、も核実験に成功
ベトナム戦争が激化し、第三次中東戦争、第二印パ戦争も勃発
7分前
1969アメリカ合衆国上院がを批准10分前
1972米ソの
締結
12分前
1974SALTⅠに続く米ソの軍縮交渉難航
両国による多弾頭核ミサイル(MIRV)配備
最初のの核実験
9分前
1980米ソの軍縮交渉停滞と地域紛争の多発
の脅威増大、
7分前
1981軍拡競争の時代侵攻、の民主化運動弾圧
南アフリカ共和国のが問題に
4分前
1984米ソ間の軍拡競争が激化3分前
1988米ソがを締結6分前
1990東欧の民主化、の崩壊10分前
1991の崩壊、解体17分前
1995ロシアに残留した核兵器に不安が募る14分前
1998の核実験5分前
2002前年にが発生
からの脱退を宣言
による使用の懸念が高まる
7分前
2007北朝鮮の核実験、の核開発、地球温暖化の更なる進行5分前
2010アメリカの大統領による核廃絶運動6分前
2012核兵器拡散の危険性の増大
を背景とした原子力の安全性への懸念
5分前
2015気候変動や核軍備競争3分前
2017アメリカの大統領による核廃絶運動2分30秒前
2018北朝鮮の核開発に伴う核戦争への懸念2分前
2020失効による核軍縮への不信感
宇宙・サイバー空間上における軍拡競争激化、気候変動への関心の低さ
1分40秒前
2023ロシアの侵攻による核戦争リスク増加
チェルノブイリ付近による紛争により放射性物質の広範な汚染リスク
1分30秒前
2025核兵器の拡散や中東情勢、気候変動など1分29秒前
2026主要国は国家主義的となり、存亡リスクが増大1分25秒前



安全保障のジレンマ

 原型: 

  cf.「囚人のジレンマ」

 安全保障について、このような場合を考えてみる

  A国が軍備縮小を提案し、B国がそれを受け入れるかどうか

   A国:B国の軍備縮小に対して、不信感を抱く

   B国:A国の軍備縮小に対して、不信感を抱く

   「もしも、向こうが軍備縮小をしなければ……」 

    →最善手を打つことができなくなる

 アメリカアメリカ
 軍縮軍拡アメリカ
ソ連軍縮協調による平和(10)裏切りによる優位(5)
ソ連軍拡裏切りによる優位(5)恐怖の均衡
(1)

 


 このように「最善手」を打てなくなるのはなぜか

  →情報量不足による相互不信~互いの信頼関係を構築する必要性